「ありがとう」がない国?東ティモールでの気づき
JICA専門家として東ティモールで活動していた頃の話です。
最初に驚いたのは、現地語(テトゥン語)に「ありがとう」にあたる言葉がないことでした。代わりに、かつての宗主国ポルトガルの「オブリガド」を使っています。
それを知った当初は、「感謝の概念がないなんて…」と、正直、文化の違いに驚きました。
でも、現地の人々と長く過ごすうちに、その考えは変わりました。
たとえば、誰かが海で魚を獲れば、それを当然のようにみんなで分け合う風習があります。見返りや感謝の言葉を求めるわけでもなく、相互扶助が生活に溶け込んでいるのです。
「自分と他人」と線引きするのではなく、「自分も他人も同じ」。そんな感覚が根付いている社会には、「ありがとう」という言葉すら必要ないのかもしれませんね。
(ただし、現代ではこうした文化はかなり失われているとは思いますが、、)
私たちは違いばかりに目を向けがちですが、もともとは同じルーツを持つ存在。違いよりも共通点に目を向け、他人を“自分ごと”として受け止められたら、そもそも争いは起こらないのでは…?
東ティモールでの経験は、そんな問いを私に与えてくれたのでした。
